2019年に芥川賞を受賞した『むらさきのスカートの女』を読みました。
感想を一言でいうと、「お前は誰。こわくね?」です。
190Pしかない薄ーい小説なんですけど、30〜40Pくらい読んだあたりから、段々不気味になってくるんですよねー。ネタバレなしで読んでほしい。
今回は、『むらさきのスカートの女』の感想・レビューを書いていきます。
『むらさきのスカートの女』のあらすじ
まずは背表紙のあらすじの引用をどうぞ↓
近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で働き出すように誘導し……。
『むらさきのスカートの女』の背表紙より引用
このあらすじにコメントすると、ネタバレになっちゃうので何も書かずで勘弁してください。
もう、ほんとおもろいから読んで笑。
『むらさきのスカートの女』が芥川賞を受賞したときのコメント
芥川賞を受賞した時の審査員のコメントを紹介します。
(ネタバレになる箇所は省きました)
- 小川洋子さん
奇妙にピントの外れた人間を、本人を語り手にして描くのは困難だが、目の前にむらさきのスカートの女を存在させることで、“わたし”の陰影は一気に奥行きを増した。
常軌を逸した人間の魅力を、これほど生き生きと描けるのは、間違いなく今村さんの才能である。
選評の概要より引用
- 山田詠美さん
少しも大仰でない独得の言葉で、そこはかとない恐怖、そして、おかしみの点在する世界に読み手を引き摺り込む手管は見事だと舌を巻いた。
選評の概要より引用
- 宮本輝さん
このふたりがじつは同一人物ではないかと疑いだすと、正常と異常の垣根の曖昧さは、そのまま人間の迷宮へとつながっていく。
選評の概要より引用
- 堀江敏幸さん
見る側の奇妙な思い込みは、他人を鏡にして自身のいびつさを際立たせるのだが、そのいびつさをなにか愛しいものに変えていく淡々とした語りの豪腕ぶりに、大きな魅力がある。
選評の概要より引用
雰囲気だけ察してくれたら嬉しいです。
内容をひとつでも話しちゃうと、面白さというか怖さが半減しちゃうんで何もいえないんですよねぇ…。
軽く読めるのに印象に残る『むらさきのスカートの女』を次の一冊にどうぞ
「とにかく怖いよ!不気味だよ!」くらいしか感想を伝えられませんでしたが、それでもう十分。
ワクワク、悲しい、キュンキュンみたいな小説じゃなくてたまには不気味な一冊、読んでみませんか?
芥川賞のお墨付き、『むらさきのスカートの女』をぜひ次の一冊にしてみてください!