【当たり本】『恋とか愛とかやさしさなら』の感想・レビュー。読みながら考えさせられる良本でした。

『恋とか愛とかやさしさなら』読みました。作者は直木賞を受賞されている一穂ミチさん。
表現の細かさ、繊細さが非常に的確で、読んでて「この人の文章飛び抜けてるなぁ」と感動するほどでした。

あらすじをざっくり言うと【彼氏が婚約翌日に盗撮しちゃったどうしよう。】って話。

Amazonでのあらすじはこちら↓

プロポーズの翌日、恋人が盗撮で捕まった。

カメラマンの新夏は啓久と交際５年。東京駅の前でプロポーズしてくれた翌日、啓久が通勤中に女子高生を盗撮したことで、ふたりの関係は一変する。「二度としない」と誓う啓久とやり直せるか、葛藤する新夏。啓久が“出来心”で犯した罪は周囲の人々を巻き込み、思わぬ波紋を巻き起こしていく。

信じるとは、許すとは、愛するとは。

男と女の欲望のブラックボックスに迫る、
著者新境地となる恋愛小説。

Amazonより引用

どことなく『正欲』『傲慢と善良』と似たようなメッセージ性を感じました。「そういう本が好きなんだよね！」って人は、この本も間違いなくあたりだと思います。

今回は、婚約した彼が盗撮した『恋とか愛とかやさしさなら』をレビューしていきまーす。
よかったら読んでいってください。

『恋とか愛とかやさしさなら』の感想①｜ストーリー以上に複雑なメッセージ性がおもろい。

なかなかハードな内容でしたねー。
個人的には単純な「痴漢をきっかけに二人の仲が変わっていく」だけのストーリーにしてないのが抜群に良かったです。

こういうありがちな「男女間のもつれ」だけの話じゃなくて、複雑なメッセージ性を感じました。

ストーリーが面白い、展開が気になるのは当たり前。

「どうなっちゃうの？」とストーリーに惹きつけられながらも、普段考えない視点で男女差を学べるのはいい教材なんじゃないでしょうか。

「盗撮」を媒体に『結婚観』『男女差』『被害とは？』『更生とは？』と深く深く考えさせられる場面がたった230P程度の本に何度もありました。

最終的にたくさんの意見に揉みくちゃにされながらも、答えに辿り着こうと苦しむ続ける主人公の描写も最高でした。表現の細かさもかなり楽しめるはずです。

『恋とか愛とかやさしさなら』の感想②｜やっぱり女性から見る男は気持ち悪いよねー。

『モテるために必要なことはすべてダーウィンが教えてくれた』でも書いてありましたが、女性から見る男性って気持ち悪いんですよね。そのキモさがガンガン表現されてて、すげぇ勉強になりました。

挙げればキリがありませんが、さらに男の方が肉体的に強いってのもなかなかの恐怖。

女子から見る男の残念さが沁みました…。

まぁもちろん、素敵な男性にはぎゅーんと惹かれちゃうんですけど。
キモい男は、キモいし怖いんですよね笑

そのあたりの女性目線がしっかり書いてあったので、男性には超おすすめ。
個人的には、『モテるために必要なことはすべてダーウィンが教えてくれた』を読んでから読むと20倍くらい理解が深まるので男性諸君はこちらもどうぞ。

『恋とか愛とかやさしさなら』の感想③｜5分以上ひたれる読後感を味わえるストーリー

この小説を読んだあとズドーンと余韻を楽しんだ人は多いと思います。
私に至っては、何度かページを遡って「これってどういうことだったんだろう？」と読んだ後も夢中でした。

ライトな小説であれば「さー晩御飯作るかぁ」とかすぐ切り替えできるんですけど、この作品は割と読後感ずっしり目。

ネタバレになるので、何にも言えないんですけど。
いろ〜んなメッセージ性に触れながら、最後は単純にストーリーが放つ後味の余韻を味わえるかと。

決して単純なストーリーではないので、「味わい深い一冊を読みたい」という人にはめちゃくちゃおすすめです。

【まとめ】『恋とか愛とかやさしさなら』勧めたいのはこんな人。

誰が読んでも面白いと思いますが、特にも勧めたいのは2パターン。

『正欲』『傲慢と善良』あたりが好きな人は、この本もハマる系統なのでぜひ次の本に選んでください。

「女子視点を理解したい」と望む男性は、繰り返しになりますが『モテるために必要なことはすべてダーウィンが教えてくれた』を先に読むと20倍くらい深く読み取れるのでぜひ参考にしてください。