原田マハさんの『独立記念日』を読み終わりました〜。約350Pのなかに24篇もの短編が収録されていて、サクサク読める一冊でした。
すべての心温まる24の短編の全ての主人公が女性で、その物語がリレーのように主人公を変えてどんどん展開していきました。
この話では脇役でも、次の話では主人公。
みんな脇役からスタートするのに、ちゃんと悩んで、ちゃんと道を切り拓いてるのがすごいよかった。この小説は、「みんながみんな何か事情があって、解決できない悩みを抱えている」という当たり前のことを思い出させる温かい本です。
- 孤独の中で悩みを抱えてしまっている女性
- 環境を変えたいのに勇気がでない女性
- 誰かに優しくすることを忘れてしまった人
ここからは、この小説の魅力をネタバレなしで伝えていきます。次に読む小説をお探しの方は、読んでみて買うか検討してくださいな。
『独立記念日』のあらすじ
まずは背表紙に書いてある範囲であらすじを紹介しましょう。
この小説の24もの主人公たちは、恋愛、結婚、進路やキャリア、挫折・別れ、病気や大切な人の喪失…、それぞれの人生のステージで悩みを抱えながら、今までの殻を打ち破っていきます。
テーマは一貫して『女性が人生を生き直す瞬間』でした。
独立の定義はいろいろあるものの、「再スタートを独立としてるのかなぁ」と思いながら読み進んでいました。
ぜひ、あなたも読みながら「独立ってどんな意味だろう?」なんて考えられたらきっとより深く小説を読めると思います。
どんな人も主役で、どんな人も一生懸命悩んでる
この小説は、ひとつひとつの物語がリレーのようになっています。
脇役だった人が、次の話では主人公として描かれる。
あまりに脇役すぎて、「あれ、こんな人出てたっけ?」と何回も前の章に戻りました笑。そのくらい脇役が次の章に主役になります。
だからこそ思います。「リアルでもそうなんだ。」って。
私たちは、当たり前に「私」を主人公に生きていて、家族役の人がいて、恋人役の人がいて、嫌いな上司役の人がいて…。そういう関わりの深い人もいれば、たまたまレジをしてくれたおばちゃん、みたいな接点なんてほとんどない。どうでもいい人も1日の中ですれ違いう現実。
「でも、そんなどうでもいい人も、本当は主人公なんだ」
あなたも読めば分かるはず。「この世界に脇役なんて本当は一人もいなくて、みんな悩んでて、みんな変わりたいんだ。だから、みんなに優しくできたらいいな」って。
「優しくしよう」ってこの本を読んだ人は少なからず思えるような一冊でした。
人との出会いが悩みをスーッと晴らしていく
この小説は、人との出会いが霧のような悩みを晴らしていくきっかけになる構成になってました。
出会いが人を変える。
自己啓発書に書かれてそうな言葉ですが…笑。改めて、誰と付き合うか?で悩みも変わるのはみんなもわかると思います。
ここで私が言いたいのは、「自分はいい出会いになっているんだろうか?」振り返ることです。
「自分がいい出会いになっているか?」振り返るきっかけになれる
この小説のいいところは、助けている人が、助けようとしてないことです。普通に暮らしてるのに、悩んでいる人にとってはヒントや勇気になってる。
それって一番じゃないですか笑。
「悪意でなく、善意で普通に暮らす。」
これが助けようとせず、人を助けちゃう生き方なんだなぁってほのぼの感じられたのがよかったです。いつもいつでも、っていうのは難しいかもしれませんが、せめて明日くらいは善意で暮らしていこうと思います。
他人のリアルな人生を覗いて、悩みと葛藤を知れる
この小説の主人公たちに天才はいません。本当にざ・普通の人々。OLとか教師とか笑。つまりあなたの隣にいる人だし、友達のような人が主人公です。
だからこそ、たくさんの悩み方を知れてよかったです。
- 弱虫な自分に悩む人
- 夢が遠のくことに悩む人
- 出会いに悩む人
悩みのタネは世代によっても、性格によっても全然違う。
だから、私たちは人の悩みを本当の意味で理解してあげられないし、なんだか軽いものに面ちゃうんですよね。
あなたも「なんでそんなことで悩んでんの?」こんな風に思ったことがあるはず。冷たいんですけど、人間なんてそんなもんです。
だからこそ、人の悩み方を知るのは価値あることだと思います。
この本は、多種多様な世代・性格の女性たちが悩む様子を伺いしれる貴重な体験をさせてくれます。
多種多様な女性の悩みを知れて、人の悩みに寛容になれる
悩み方を知れば、突き放すような人になれない。「そうだよね、苦しいよね」って共感しながら伝えてあげられる。
こういう悩みや葛藤がテーマの題材を読めば読むほど、あなたは優しくなれるんです。ぜひぜひ、この本を読みながら、共感と優しさを育んでもらえたらと思います。
人に優しくする勇気をくれる本
原田マハさんの『独立記念日』は優しくする勇気をくれる本だと思います。
自分にとって脇役でも、すべての人が主人公
すれ違う人すべてが、同じように悩み、悲しみ、傷ついていて、誰かの助けが必要なんだ。
自分は悩める誰かのために優しくしてあげよう。
そんな勇気をくれるような本でした。ぜひ優しさの勇気がほしい方は『独立記念日』を読んでみてください。