友達が「この本面白いよ!」と『銀河鉄道の父』を貸してくれました。
面白すぎるし、涙腺が解放されるし、マジで感動。本好きなのにこれ読まないなんて人生損。うなぎ食べれないくらい損してます。
味わいのある一冊を探している
家族愛を描いた本を読みたい
じんわり泣きたい
ってあなたにフィットした本なので、「次なに読もうかなぁ〜。じんわり感動したいなぁ」って悩んでいる人はぜひ読んでください。
今回は、ネタバレなしの範囲で『銀河鉄道の父』の良さを語っていきます。まだ読んでない人はぜひぜひ参考にしてくださいな。
第158回直木賞受賞作
『銀河鉄道の父』は2017年下半期の直木賞を受賞。ほぼ満場一致で決まってようです。引用元で、他の審査員のコメントもぜひ見てほしいですが、私の感想に一番近いのは、桐野夏生さんのものでした。
(引用者注:息子の賢治を)信じつつも失望させられ、裏切られても愛することをやめられない。どうしようもない父親の姿が、ほどよい距離感をもって淡々と描かれている。その筆致は心地よく強い。」「優れた父性小説であると同時に、賢治の創作の苦しみも伝わる、感動的な作品となった」
桐野夏生のコメント(https://prizesworld.com/naoki/senpyo/senpyo158.htm)
裏切られても、愛してしまうのが親なんですなぁ。宮沢賢治という現代では完成された童話作家が、どれだけ親の期待に応えられず、罪悪感や不甲斐なさを感じてきたか。
それを知りつつ父・政治郎は、ダメ息子の賢治を父としての威厳と愛の葛藤のあいだで支えていく描写に、クライマックスの感動を大きくする力があったように思います。
2023年5月5日豪華キャストで全国ロードショー
『銀河鉄道の父』は映画化されておりまして、キャストは以下の通りです。役所広司さん、菅田将暉さんもめっちゃハマりそう。
- 監督|成島出
- 宮沢政次郎 | 役所広司
- 宮沢賢治 | 菅田将暉
- 宮沢トシ | 森七菜
- 宮沢イチ | 坂井真紀
- 宮沢清六 | 豊田裕大
- 宮沢喜助 | 田中泯
地味に私がときめいたのが、監督の成島出さん!今回調べてはじめて知ったんですけど『八日目の蝉』の監督さんです。あの映画めっちゃ面白かったなぁって鮮明に記憶してるのですごいすごい期待。早くアマプラとかでリリースしてほしいなぁ。
ちなみに予告編はこちら。小説読んだ直後に、この動画見たんですけど予告編でふつうに泣きました笑
読んで感動したポイントをネタバレなしで語ります。
ネタバレにならないように泣けるポイントを3つ伝えます。この3つはたぶん100人読んだら99人は頷くんじゃないかなぁ。それくらいこの小説はこの3つにパワーがこもっていると感じています。
父・政治郎と長男・賢治のすれ違いが泣ける。
この小説のポイントは、すれ違いにあると私は考えました。父が長男・賢治に質屋を継いでほしいと期待。賢治も父の「期待に応えたい」と願って生きる。けど賢治は根が優しすぎて、質屋っていう器じゃなくて、すごいすごい苦しんじゃうんです。
ヤシの木をアラスカに植えるようなもの。童話作家になるくらい根が繊細で、慈しみのある心をもった人間に質屋は耐えられないものだったでしょう。
賢治が苦しむのは当然ですが、父・政治郎がどれほどそのことに気を揉んだか。葛藤する2人の意思の通わなさが、後半40Pの愛おしいほどの悲しさを作り出してくれました。
2人の距離が作品を通じて、近くなって、遠くなって、近くなってを繰り返して。家族というものの距離の難しさ、思い通りにいかない苛々、でも誰よりも愛おしい。家族に対する複雑な感情を見事に描き出してくれています。
妹・トシの存在が泣ける
宮沢家の長女・トシは賢治の最大の理解者だったようですが、あぁぁああああもうネタバレになっちゃうから言えない!この子が切ないよぉ。
神様のいたずらで、トシの運命がなかったら賢治は全然違ったと思うんですよね。神様、賢治の心に火をつける方法がなかったんですか。儚く切ない、哀しみが胸いっぱいでした。
人生は本当に思いがけない痛み、計画外の不幸という荒波を乗り切ることなのかもしれません。これは読んで切なくなってほしい。
やっぱり賢治の死に様が泣ける。
ご承知の通り、宮沢賢治は37歳で亡くなっちゃうんですけど、まぁやっぱり泣けましたよ、、、最後。この小説は賢治が「オギャー」と生まれたときから始まって、父・政治郎の視点で愛らしい賢治をずーっとみて、一緒に悩んで、向き合って、ずっとずっと可愛い可愛い賢治が病に倒れる。
父・政治郎の心臓が溢れるような哀しみに私は涙が止まりませんでした。手がかかるほど子供は可愛い。痩せこけていく長男・賢治を支えた父・政治郎の葛藤と生き様は読み応えがありました。
きっとあなたの特別な一冊になります。
期待と尊敬、失望と反抗。複雑な家族愛を味わいたいならこの本はうってつけです。感想を書きながら、その表現の難しさに何度も手を止めました。
単に「感動」とまとめるには雑すぎる。「悲しい」「愛」でも片付けられない。複雑な読後感を残す一作。
読み終えると「宮沢賢治読んでみよっかなぁ」って思えるのもおすすめのポイントです。(私は今「銀河鉄道の夜」を読んでます)
ぜひぜひ、『銀河鉄道の父』を読んでみてください。
読みたい方はこちらからどうぞ。