母に「おすすめの本ない?」って聞いたら『少年と犬』が面白かったよ!と勧められて読みました。
面白くて一気読みして、じんわり感涙。枯れていた涙腺が久しぶりに潤いました。やっぱり人に薦められる本ってハズレがないですね〜。
てわけで今日は『少年と犬』をネタバレなしで紹介していきまーす。
2020年の直木賞受賞作!この本の概略
この『少年の犬』は2020年に直木賞を受賞されております。
直木賞は”大衆文学の一番優秀な作品に贈られる賞”というだけあって、かなり読みやすかったです。
リズムのいい文章と、作品を通して問いを投げかけてくるような言葉の奥ゆかしさ。1文読んだら、軽やかに2文目に読み進められて、読むのがとまらなくなる。気づけばページをめくってしまう一冊でした。
作家さんは馳星周(はせ せいしゅう)さん。
1996年から作家活動を始められていて、本作が2020年で馳さんが55歳のときの作品と考えると、味わいのあるベテランさんの一作ですね。
犬との絆を通じて、家族とのつながりをとり戻す
この本は震災で1匹になってしまった犬が南に向かって進んでいく話。
南に向かいながら、各地で人と巡り合い、飼い主になってもらい物語が展開します。
その飼い主たちが、家族に問題を抱えている人たちなのがポイント
- 認知症の母をもつ姉弟
- 妻に先立たれた老人
- 奥さんとうまくいってないダメ亭主
- 親を失った女子高生
etc.
なんとなく幸福を感じられていない。人生にふりそそぐ予定外の不幸に苦しむ人を犬が慰めて、犬との絆から、家族とのつながりも取り戻していくような話。
悲しい終わりかたもあるけど、人生で本当に大切だったものを取り戻していくのはやっぱ感動ですねぇ。
大衆文学というだけあって、登場人物の多さもポイント。
飼い主になってくれる人が6人も出てくるんですけど、それ誰もに共感するポイントが散りばめられてました。
読みながら、父・母・兄弟・これから生まれるかもしれない子供…などなど家族の誰かを思い、それが物語と一緒に広がっていく。自分は家族とどう接していこうか?とふと振り返られるような本に思えました。
私の読書体験は父とのこれからの関係でした。
私はこの本を通じて、父とのこれからに頭を悩ませました。
あと4年で70歳になる父が認知症になってしまったら?というかめっちゃなりそう…
人の話より俺の話。
謙虚のけの字も知らず、自慢話に咲かない花を咲かせようとする父。
そんな父はきっと認知症になっても認知症だと認めようとしない。何かあれば暴れることだって十分あり得る。それを母1人で面倒なんて絶対見切れない。
最悪の場合、ボケたまま車に乗って人様の命を奪うことも考えられる。
どうしよどうしよどうしよ。
なんとなく父の運転が年々荒らくなっていて「遅い遅い!」「このバカッ!」と前の車に文句を言ってるのが、すげぇ怖い。
自損ならまだしも、人身事故はマズイ。
どっかのタイミングでうまいこと釘を刺さないと。
私も含めて父の面倒を見ないと。
実家は岩手。私は東京。
そう遠くない未来、岩手に帰らないといけない。
それまでにお金をどれだけ貯めないといけないんだろう?っていうか結婚相手も見つけなきゃいけないし…
わー問題山積み!
わわわわーい!
って感じで、この本をきっかけに向き合うべきことに向き合えました。
まだ答えは出せていませんが、父との思い出を今のうちにたくさん作りたいと思います。
もちろん父との関係だけでなく、これから自分がつくる家族が繋がりがあって温かいものにするために必要なことはなんだろうと。さまざまな形で考えられたのもこの本を通じて。でした。
あなたもこの本を通じて家族のことが脳裏に広がります。
この本を読むと家族のことを思い起こせると思います。
亡くなった家族、生きている家族
大好きだったお父さん、大嫌いだったお母さん
関係を作れなかった娘
かけがえのないあの人との間にある美しい思い出も、苦々しい後悔も言い訳もぜんぶぜんぶ思い返せるような本だと思います。気になる人は、文庫でも出てますんでぜひぜひご一読くださいませ。『少年と犬』をチェックする。