欲望、憎悪がすさまじかった宮本輝さんの『避暑地の猫』が面白かったので、今回も宮本輝さんで、『夢見通りの人々』。
ちなみに今まで宮本輝さんの本はハズレがありません。時を忘れさせる読書体験を楽しめるので個人的は好きですねぇ。
『避暑地の猫』
『夢見通りの人々』
『錦秋』
『月光の東』
まぁ4冊なんですけどね笑。今のところ、どれも面白くて、どれもThe昭和って感じの昔っぽい人間模様を描いてくれてます。
綺麗事を省いて、人間のキレイなところ、汚いところ、人間臭いところをちゃんと表現できてる作家さんだと評価しとります。(何様やねん)
ってわけで今回読んだ『夢見通りの人々』の話をしていきましょ〜。
『夢見通りの人々』のあらすじ
大阪の夢見通り商店を舞台に、泥臭〜い人間模様を描いたユーモアたっぷりの喜劇です。
登場人物がそもそも癖がつよいんですよ笑
- 詩人を志す青年
- 拝金主義の時計屋の夫婦と盗み癖がやめられないドラ息子
- ドラ息子と好き合ってるパチンコ屋の娘
- ホモの写真屋
- 恋愛拒否のスナックのママ
- 性欲の止まらない元ヤクザもんの肉屋
- 喧嘩の止まらない中華屋の夫婦と口やかましい娘
この癖の強いみんなが、な〜んか顔見知りというか小さな世間を作ってて、その中での人間模様を泥臭く描いてくれてます。
ほっこりしたり、ゾッとしたり笑
ユーモア満点の人間劇を楽しめる一冊となっております。
読んだ感想をネタバレなしで伝えてみよう。
おすすめ度は、星4ってところ。「読んで後悔」ってこともありませんが「うわっ!おもしろ!人生観変わったわ」ってこともなし。それでも「次どうなるんだろ?最後みんなどうなるんだろ?」とわくわくページをめくれるのが素敵なところ。
すごいなと思ったのが、キャラの濃さに不自然さがなかったこと。
性欲の止まらない元ヤクザの兄弟に相応しい悩みを持ってるんですよね笑。発言もなんかそれっぽいし。
強い個性だから出せるそれぞれの抱えるコンプレックスがこの小説の中で、あちこちに溶け合い人間模様を構築してて、全く飽きを感じさせませんでした。
なーんか泥臭い本読みたいんだよねぇ。令和にはない人間っぽいもんを読みたいなぁって方はぜひぜひ『夢見通りの人々』をお手に取ってくださいな。